受験傍観記:多様化する入試とリベンジの難しさ

塾の人間が磨くのは、わかりやすい授業のための言葉だけではありません。生徒を励ましたり、慰めたりするための言葉もまた求められます。

受験生相手であっても、我々は1週間のうち、せいぜい数時間ほどしか一緒に勉強を行行うことはできません。自然、生徒の信頼を勝ち得ていくには、勉強面以外の言葉掛けが必要になっていくわけです。

節目を迎えた受験終了のタイミング、喜ばしい結果に終わった生徒もいれば、残念な結果に終わってしまった生徒もいます。

第一志望不合格、残念な結果となってしまった高校受験生に対して、私はよく言います。

「高校では頑張って勉強して、大学受験でリベンジ頑張ろうね」と。

 

こんにちは、管理人のtwelfです。教材紹介と並行して、本日は私がこれまで担当してきた生徒の合格体験談をお話ししていこうと思います。私が合格を体験した訳ではなく、私はあくまでそれを時折サポートしたに過ぎません。だから、「合格傍観記」というタイトルなのです。

まさか実名を出すわけにはいかないので、生徒の名前を以下Aとしてお話させてください。他にもいろいろぼやかしますがご了承を。

 

Aさんが塾に入ったのは高校受験終了後のタイミング、卒業間近の中学3年生でした。入塾の際の面談を終え、彼女のこれまでの経歴を見て、非常に驚いた記憶があります。

中学は中堅大学と呼ばれるところの付属校。中学高校一緒なのは勿論、高校も多くがエスカレーター式にその大学へと進んでいくところ。

しかしながら進学先予定の高校は、その系列とは全く違う、いたってドノーマルなその地域の名ばかり進学マンモス校だったのです。

偏差値的には一応50を超えてはいますが...。今振り返ってみても進学校として十分な指導を行っているとは、到底言えないところでしたね。

やる気ばかりが空回りして、必要もないのにいたずらに授業を難しくする若手教師。マンモス校特有の、放任型で面倒見の悪い指導。進学実績でも部活動でも誇れるところがなく、かろうじてアピールポイントといえるのが人数だけ集めた学園祭と、あとは校則で縛ったうえでようやく成り立つ無難で安心できる治安のよい学校生活のみ...。

勿論、彼女がもともといた付属校を離れたのは、そこに行きたかったからではありません。また別の付属校を第一志望とし、内部進学権を放棄してのリスキーな外部受験を行った結果でした。

第一志望は成成明学クラスの付属高校。とにかく自由で、芸能面にも明るい校風、OBOGにはテレビの業界人がズラリ...。そこに憧れて受験にチャレンジした結果、夢破れ、名ばかり進学校に籍を置く結果となったわけです。

彼女の塾での勉強の目標はただ一つ、高校受験の際行けなかった大学に入学し、リベンジを果たしたいということでした。

学力は抜きにして、彼女がそこの大学にマッチしていたかというと、性格的にはかなりの相性だったと思います。ちょっとした芸能活動もやっていた経験もあり、海外への関心も高く、中学卒業までに海外への短期留学も複数回行っていました。

彼女が行けなかった高校の偏差値は、大体パスナビ調べで60くらい。リベンジ相手である、そこの大本の大学の偏差値は、同じくパスナビ調べで大体55~60くらい。

この差をどう読者の方は考えるでしょうか?

「大学の方が偏差値が低いから、頑張ればリベンジもいけるんじゃないか」

そう思った人がいたら、それは大きな間違いと言わざるを得ません。

偏差値というものの細かな話を知らなくともわかることですが、母集団の違いというカラクリがここでは働いています。

高校受験を目指す生徒の場合、結局推薦形式に落ち着こうが、彼らも結局模試を受けます。高校への進学を行わなかったり、勉強ではなくスポーツなどの活動で進学先を決める生徒もいるでしょうが、基本、母集団はその世代の生徒から偏りなく抽出した集団と考えてよいわけです。

しかしながら、大学受験ではこうはいきません。そもそも一般入試を視野に入れない生徒が大量発生するのです。

大学入試は多様化の一途をたどっています。一般試験は結局のところ特殊な試験なのです。その特殊な形態で大学合格を決めようという生徒の中での偏差値55~60。これは非常に辛い数値です。

高校受験の際得た偏差値を大学受験の際も維持し続けること、これは正直、高校で生まれ変わったかのように勉強の量と質を上げない限り到底達成することができません。

そんなAさんは高校入学後、どんな学校生活を送っていたかというと...、絵にかいたようなグータラ女子高生でした。勉強は試験に対して適当に間に合わせるだけ。長期休暇の時ときたら、苦手科目に関しては、宿題代行のお願いに近いんじゃないかってくらいの指導をさせられました(笑)

地力上げの勉強は早めに切り上げざるを得なかったわけですが、その結果、学校の定期テスト対策に照準を絞れたので、一定の成績確保ができたのは怪我の功名といえるかもしれませんね。

Aさんは受験学年で、総合型入試(本当は微妙に違いますがそういうことにしてください)でリベンジに挑むことに決めました。

レポート型の総合入試に近い形態で、調査書と課題提出と面接で決まる方式でしたね。

課題提出の際、私も知恵を絞りつつお手伝いをしたのですが、彼女も夢の志望校を前に奮起してくれたのか、相当に頑張ってくれました。

少しでも疑問に思ったことはメールで共有してくれましたし、コマ数もたくさん撮ってくれていたので、こちらも場当たり的な指導にとどまらず、全体を見据えたアドバイスを行えたと思います。そしてこちらの助言をしっかり消化して次の授業までにブラッシュアップする、というのも毎回きちんと行ってくれましたね。

普段の勉強ではあまりわからなかったのですが、これまでのたくさんの留学経験と、こっそり行っていた別の塾でのオンライン英会話で、「拙い英語を振り回す」的な英語表現力はしっかりと身についていたことはうれしい誤算でした。

他に武器といえるのは、かつてやっていたの芸能活動と学校から隠れてのバイトで身に付けた面接力。この二つに関しては、Aさんは抜きんでた力を持っていました。

選んだのも語学系の学部。筆記試験があったら正直爆死していたと思うのですが、面接での英語を交えたやり取りとレポートで、しっかりと大学にアピールを行った結果、見事、3年越しのリベンジ合格を果たすことができました。

今時珍しい、掲示による合格発表。ショートメールで合格の知らせが私のもとに来たときは、私も感無量でした。

 

ここまで読んで、「いやいや、一般受験でのリベンジを話すんじゃないのかよ」と突っ込んだ人もいるかもしれません。それはごもっとも。しかしながら、一般受験でリベンジ合格を果たすのは非常に難しく、それこそ前に言ったように人が変わったかのような勉強をこなすほかありません。

私のこれまでの経験の中でも、それができた人はほんの一握り。殆ど出会ったことがありません。

入るのが難しい高校ほど生徒の力を引き出すための教育を行っている、というのは当然の話。そもそもそこから不利に立たされてしまっているわけです。

個人的には、不合格のくやしさをバネに、総合型入試の場でしっかり評価を受けるための経験を積み重ねておく方が、リベンジ合格には近くなると思います。

校外活動、留学、ボランティア、部活、小論文力の養成、各種検定などなど、しっかり3年計画で準備をしておくこと。受験学年でリベンジ合格の壁を突き通すための鉾となってくれることでしょう。

 

「そんな時間はない!でも逆転合格したい!」そんな思いでこのサイトまで来てくれた方を管理人は全身全霊応援しています。是非是非突き抜けて精進してください。こちらも労力は惜しみません。

 

以上、合格傍観記でした。